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生物機能化学的な展開を指向した
多環式芳香族化合物の合成

Development of Polyaromatic Hydrocarbons Capable of Biological Functionality
2022年度

研究代表者

岩澤 哲郎(先端理工学部・教授)

共同研究者

富﨑 欣也(先端理工学部・教授)
宮武 智弘(先端理工学部・教授)

区分

共同研究

概要

お椀型の湾曲芳香族分子の研究は、バックミンスターフラーレン(C60,図1(a))の部分構造であるバッキーボウルを中心に行われてきた。バッキーボウルには機能的な造形美が内在するからである。特にコランニュレンとスマネンの二つは長年関心を集めてきた。しかし、バッキーボウルの潜在的な可能性と多様性にも関わらず、それらに比肩する鮮烈なバッキーボウルは新たに登場していない。そのため、この分野の価値を掘り起こして活性化するには、新分子に依拠した展開が求められる。本研究では、ジインデノクリセンとジインダセノクリセン(図1(b))の合成を主題に取り上げる。研究の焦点を(1)の高生産性スキームと(2)の新規合成に据え(図1(c))、それぞれを人工アミノ酸などへの誘導体化と分子集合体としての機能化を目指す。本研究によって、ヘテロ元素で官能基化された多環式芳香族炭化水素の合成を実証し、石油化学と生命化学それぞれの特徴に根ざした物質を創出する。代表者・岩澤の「有機合成」、分担者・富崎の「ペプチド化学」、分担者・宮武の「超分子化学」それぞれの専門性を融合した萌芽研究に臨む。

右図1(a)バックミンスターフラーレン;(b)ジインデノクリセンとジインダセノクリセン;(c)本案で焦点を据える(1)と(2)、いずれもジインデノクリセンを母核に持つ。