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アルツハイマー病治療薬を指向した
ペプチド線維化阻害剤の設計指針開発

Design and synthesis of peptides potential for inhibition of fibrillogenesis
2022年度

研究代表者

富﨑 欣也(先端理工学部・教授)

共同研究者

山﨑 正幸(農学部・教授)

区分

共同研究

概要

アルツハイマー病は認知症の一種であり、脳細胞から分泌されるアミノ酸42(または40)残基からなるアミロイドβ ペプチド(Aβ)がβ-シート構造へと二次構造転移することでアミロイド線維を形成、大脳皮質において老人斑へと成長し、神経細胞の脱落、記憶障害や知的機能障害を誘発するといったメカニズムが提唱されている。これまでに、Aβ 配列を基に種々の線維化阻害剤が開発されてきたが、アミノ酸置換や化学修飾によりAβ配列との相同性(ホモロジー)が低下しているため、阻害剤の長期的な体内投与により非特異的な作用や抗原化リスクを誘発する恐れがある。一方、申請者らは、アミノ酸9残基からなるペプチドRU003が二次構造転移に伴い経時的にアミロイド様線維を形成すること、これらを5-アミノペンタン酸をリンカーとして直列二量化したタンデムダイマーペプチドがRU003単量体の二次構造転移を阻害し、酵素感受性の不定形集合体へと誘導することを見出した。しかし、リンカー部分の回転自由度が線維化阻害活性に与える影響は不明であった。本研究では、5-アミノペンタン酸より自由度を増した2-アミノエトキシ酢酸および自由度を減じたグリシルグリシンに置換することで、原子数6 のリンカーの回転自由度とRU003 単量体のβ-シート構造への二次構造転移阻害効果ならびに集合体形成に伴う細胞毒性との関係について検証することを目的とする。